長引くウィルスとの闘い……病みますね。『自粛』というだけで病むのに、『自己破産』というのは、それまでの暮らしが大きく変わります。
車がなくなり、家がなくなり、カードがなくなり、もしかしたら家庭もなくなっているかもしれません……
他人に知られる事ではないですが、本人はその事実を知っています。自己破産手続きを踏む方は、生真面目な方が多いです。
いい加減な人は、ほったらかしていても何とも思いません。催促が来ても気にしません。他人の目ももちろん、気になりません。
だから、その選択をしなければならなくなった生真面目な方なので、自身を責めているケースも多いのです。
そのため、大半の自己破産者も自己破産後に病みます。人によっては、他人から破産者だと見られているのではないかと、怯えてしまう場合もあります。
せっかく人生を立て直すために、苦しみから解放されるための手続きなのに、その後、頭を抱えていては上手くいきません。
今回は、自己破産者のメンタルケアを中心に、ご紹介したいと思います。
仲間や家族が破産した場合、どのように声をかければ良いのでしょうか。
また、自分が破産した後、罪悪感に駆られて辛い場合は、どうしたらいいのでしょうか。
その辺りを経験者として、語りたいと思います。
借金、破産という言葉を聞くだけで冷や汗が止まらなくなる
これは私の知人社長のケースです。生粋の営業マンとして、業界では名も知られた方でした。その手腕に協力者も多く、脱サラして独立後、多くの取引先を持ち、ものの数年で年商10億を超え、従業員も20人以上抱える社長となりました。
イケイケな社長でしたが、義理堅く、中元や歳暮も欠かさず出すような方でした。そして、お金で人の関係が崩れる事をよくご存じでした。だから、お金の面は几帳面でした。
それでも、何度も苦難がありました。
結果、10年目を前に倒産しました。
イケイケなだけに、周りからの反応も厳しい物があったのか、その後、彼は『借金』や『破産』という言葉を聞くだけで冷や汗が出て、鼓動が早まり、めまいがするようになったそうです。
ワンマンで、弱みを見せない性格だった事もあり、その悩みも奥様だけが知っているくらい隠していたようです。
結果、そこから5年くらいは病院通いしながらの立て直しになりました。その間、かなり髪が減り、全体的に老けた印象を受けました。
それまで、病気とは無縁の方だっただけに、私も驚きました。
このように、自己破産をした方というのは、罪悪感や敗北感などで自分を責め、その結果、体調不良を起こすという事をまず、知っておいてください。
破産くらい、皆してるよ
大げさな話ではなく、人に言わないだけで、割と自己破産者というのはかなりの数がいます。そして、自己破産は罪ではありません。
しないで成功できるのが一番ですが、かの大統領や有名な実業家も自己破産を経験しています。
ですから、破産=敗北という図式は間違っています。
借金は苦しいです。真面目であればあるほど、苦しいです。苦しいから破産をするのです。
その苦しみを少しでも感じ取ってあげてください。たとえ、ルーズな人であっても、本当にルーズならば、自己破産という形を取ろうとしません。そのまま、ズルズルと先延ばしにできるのです。
そして、一番大切なのは、自己破産者の未来です。より良い未来のために、自己破産をしたのです。苦しみが増しては意味がありません。
ですから、破産は悪い事ではない、仕方がなかったという結論を共有し、振り返るのを忘れてしまうくらい、楽しい未来の話をしてください。
借金がなくなったから、これからは貯金ができるようになる、など、プラスの要素は探せばいくらでもあると思います。
今までの生活から失ったものに目を向けるのではなく、得られたものに目を向けてください。
それを共感できるのも、家族、仲間、身内の力です。
ただでさえ、病みやすい世の中です。自分の家族、仲間、身内くらいは大切にして、本当の意味で力になりましょう。