倒産の決断

倒産

 

良い言葉ではないでしょう。しかし、私は過去に一度、自分で経営した会社を恥ずかしながら、倒産させています。

 

この記事では、倒産を決断するに至った経緯を紹介しようと思います。

 

倒産とは様々な要因による支払不能の長期継続

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簡単に言えば、これに尽きます。この結果、仕入、売上、経費のバランスが崩壊する事によって倒産は起こります。当たり前の説明ですが、逆を返せば、このバランスを崩さなければ倒産は起こらないという事です。

 

事業にとって資金とは、車にとってのオイルのような物だと思います。

 

例として、

 

  • 資金を集める
  • 売上額を増加させ、仕入額を減少させる
  • 経費を抑える

 

など、資金というオイルで円滑にしていた箇所を他の要因で穴埋めできれば倒産は防げます。

 

過剰経費、過剰仕入から予想外の売上減少により負のスパイラルが加速

 

私のケースは、飲食店のチェーン展開を3年計画で行い、今思えば、強引な出店計画を組んでいました。結果、賃料や改装費などの経費が過剰になっていました。

 

そこはメインバンクがカバーしてくれていたため、気になるほどのショートは起こしていなかったのですが、韓国との貿易商材でトラブルが起こります。

その販売先を予定していた企業からの、出航直前のキャンセルが入ったのです。この際、私は同社を信用していたため、この件について、契約書を交わしていませんでした。

 

「そんな話した記憶はない」

 

無責任に放たれたその言葉によって、私はメーカーへ事情を説明しました。しかし、メーカーはすでに注文数の生産を終え、港に商材を移送済。すでに、商品として完成してしまっているため、支払いを要求してきました。

 

「おたくの事情は知らない。金を払わないなら国際裁判だ」

 

若い私は混乱しました。どうしていいのか、正直分からず、突如降って沸いた1千万を超えるキャッシュの不足に、必死に金を集めました。長期融資枠は使えなかったため、短期融資枠(半年後一括返済)で半分、そして、残りは・・・

 

たまたま家族が亡くなり、その保険金で、手元にキャッシュをたくさん持っていた親友に助けを求めました。頭を下げて、半分を借りました。ここから、負のスパイラルは始まりました。

 

貿易商材が入荷し、半年という期日の中で売り切らなければ返済不能なキャッシュフローが私の頭を悩ませました。日本中飛び回る毎日。その経費も、結果が出なければ首を絞めるだけでした。

 

『経費を使ったなら売って来なければならない』

 

その脅迫観念は、それまで好成績を上げていた私の営業スタイルを壊しました。結果、予想を遥かに下回る販売数は、更に私を煽りました。

 

そんな最中、今度は飲食事業でのトラブルが起こりました。

 

メニュー開発や店長たちとのコミュニケーションを任せていた飲食事業部のリーダー女性の同棲相手が自殺したのです。第一発見者は彼女でした。前日に喧嘩していたそうで、彼女は自身を責めました。

 

「しばらく、会社を休ませてください」

 

結婚すると語っていた彼氏の首吊りの遺体を見つけたのです。すぐ元気に働く事ができる人間はいないでしょう。事情を察して、彼女には休んでもらいました。

 

この結果、飲食事業部への売上増加の煽りがエスカレートしました。何故なら、私は焦っていたからです。結果・・・

 

「社長、今月で辞めさせてください・・・」

 

次々と退職する飲食事業部社員たちに、私は嘆きました。給料も同地域の同年代より払っていました。働き方も割と融通していました。結果がこれか、と。

 

現金を生み出していた店舗が相次いで閉鎖せざるを得ない状態になり、ディベロッパーからも責められる始末に、私はさらに焦りました。

 

焦りは失敗ばかり生みました。自分ひとりでできるビジネスを、と始めた起死回生の通信販売事業。商品開発、チラシ作成と順調に進み、その電話窓口要員をパートタイマーで雇いました。

 

いざ、チラシを折り込み、注文を受け始めた矢先の事でした。新たなトラブルでした。

 

「メーカーが突然、倒産しました・・・原料が調達できません」

 

という電話が私の元に届きました。原料を仲介していた企業の社長からでした。何とかして欲しいと懇願しましたが、かなり低価格での仕入だったため、他社では採算が取れず、すぐに切り替えられる状態ではありませんでした。

 

さらに、折り込みの結果、見込みの半分以下の数字が私を追い詰めました。

 

他にも様々な手を売っていましたが、ここで私の心は折れました。総負債額、約1億。

 

倒産を覚悟したのです。